【レポート】AWS Summit Tokyo 2017:AWS Cloud Adoption Framework で作成するクラウド導入ロードマップ #AWSSummit
2017年05月30日(火)〜2017年06月02日(金)の計4日間に渡り、グランドプリンスホテル新高輪 品川プリンスホテル アネックスタワーで行われている『AWS Summit Tokyo 2017』。
当エントリでは2017年06月02日に行われた『AWS Cloud Adoption Framework で作成するクラウド導入ロードマップ』に関する内容をレポートしたいと思います。
セッション概要
当セッションの登壇者及び概要は以下の通り。
鈴木 直氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
プロフェッショナルサービス本部 アドバイザリーコンサルタント
セッション概要:
AWS 上にセキュアで、信頼性が高く、高性能で、コスト効率の高いシステムを設計するには、どうしたらよいでしょうか?本セッションでは、AWS のメリットを活かした、クラウドらしいアーキテクチャを構築するための原則をご紹介します。伸縮自在性に代表されるクラウドコンピューティングならではの動的な性質を活かすための考え方を学び、AWS らしい設計を行うために意識すべきベストプラクティスについてご紹介します。
セッションレポート
- AWS Cloud Adoption Framework(CAF)の紹介
- Cloud Discovery Workshop(CDW)の紹介
AWS Cloud Adoption Framework(CAF)
- 効果的なクラウド導入を進めるためのもの
- AWSの利用を前提としたもの
- プロフェッショナルサービスを利用を前提としたものではない
ステークホルダーの観点から6つのパースペクティブにグループ化
- ビジネスサイド
- BUSINESS:ビジネスの戦略責任者、予算に責任を持つ
- PEOPLE:人事、教育、人材開発に責任を持つ
- GOVERNANCE:CIO、ガバナンスマネージャ
- テクノロジーサイド
- PLATFORM:CTO、ソリューションアーキテクト
- SECURITY:CISO、セキュリティマネージャ
- OPERATIONS:オペレーションマネージャ、アカウントマネージャ
クラウド導入で変革するスキルとプロセスをケイパビリティを表現する
BUSINESS
- ITファイナンス
- IT戦略
- 利益の実現
- ビジネスリスクマネジメント
変動費としての予算推移プロセス、コストの管理プロセス
コストの可視化、構造化の把握
外部リソースを利用することに影響を把握
PEOPLE
- リソースマネジメント
- インセンティブマネジメント
- キャリアマネジメント
- トレーニングマネジメント
- 組織変革マネジメント
文化や環境を調整するタレントマネージメントプロセス
インフラとアプリケーションとの境がなくなっていく状況でのキャリアマネージメントプロセス
早い変化に対応できるトレーニングプロセス
GOVERNANCE
- ポートフォリオマネジメント
- プログラム・プロジェクトマネジメント
- ビジネスパフォーマンス測定
- ライセンスマネジメント
既存のシステムをクラウド適合性評価するプロセス
アジャイル型のプロジェクトマネジメント
クラウドセントリックなKPIを策定
PLATFORM
- コンピュートプロビジョニング
- ネットワークプロビジョニング
- ストレージプロビジョニング
- データベースプロビジョニング
- システム&ソリューションアーキテクチャ
- アプリケーション開発
クラウド最適化なアーキテクチャの設計
クラウドサービスの俊敏性を利用するためのCI/CD
SECURITY
- ID管理&アクセス管理
- ディテクティブコントロール
- インフラストラクチャセキュリティ
- データ保護
- インシデント対応
クラウド特有のID管理
IT全体を可視化して異常を即座に検知する
OPERATIONS
- サービス管理
- アプリケーションパフォーマンス監視
- 資産管理
- リソース管理/変更管理
- レポート&分析
- ビジネス継続性/災害対策
- ITサービスカタログ
可視化、自動化を使って省力化
ハードウェア、ソフトウェアの管理プロセスの見直し
BCP、DRにクラウドを活用
セルフサービス提供できるサービスカタログの作成
Cloud Discovery Workshop(CDW)
CAFの観点で現状の課題を整理し、優先度を確認した上で、ロードマップを作成する
- ゴール像の確認
- 課題の洗い出し
- 課題の分類
- 課題の優先順位付け
- 対策の議論
- ロードマップ作成
実施のポイント
- 様々なロールの方に参加してもらう、決定権がある方の参加が必須(10人~15人)
- 可視化と議論と共有のアクティビティ、ファシリテーター役が必要
- 短期集中(1日 or 0.5日×2回)で実施
ゴール像の確認
- 大まかなゴール像を参加者全員で共有
- ホワイトボードを使ってディスカッション
- 中期計画などがあればそれも利用
課題の洗い出し
- ポストイットを利用してやるべきことを書き出す
- 1つのポストイットに1つの課題
- ポストイットの枚数制限はしない
- 課題は具体的な内容で書き出す
- CAFのパースペクティブは意識する必要はない
- ポストイットは大きめのものを使う
課題の分類
- CAFのパースペクティブの枠を作る
- ポストイットを該当のパースペクティブのところに貼っていく
- 議論しながらグルーピングなどを行う
- 関係するものは線で結んで因果関係を書く
企業によって偏りが出てくる
あまり検討がなされていない領域が見えてくる
自分が考えているより広く深い課題が見えてくる
課題の優先順位付け
- グルーピングしたキーワードで新しいポストイットを作成する
- 四象限のマトリックスを作成
- ポストイットをマトリックスにマッピング
- どこまでの対策、ロードマップを作成するかを決める
対策の議論、ロードマップ作成
- 対策の議論を行い、挙げられた対策をタスクとしてポストイットに記載(あまり詳細化しない)
- タイムレーンを作り、ポストイットをマッピングする(いつから開始していつまでに終了するか、半年から一年)
- タイムレーンの縦軸は任意
- ロードマップ上の各タスクに実施責任を持つタスクフォースオーナを決める
- 参加者全員で確実にロードマップを実施することに合意する
まとめ
AWS Cloud Adoption Framework(CAF)
- 組織がどういったスキルやプロセスを持たなければならないか
- 6つのパースペクティブごとに変革に必要となるスキルとプロセスを定義する
Cloud Discovery Workshop(CDW)
- CAFの観点で現状の課題を整理し、優先度を決める
- 様々なロールの方に参加してもらう(決定権のある方が必須)
- 可視化と議論の共有を行う
- 短期集中型で実施する
感想
エンタープライズ企業など、クラウド導入を慎重に行っていきたいと思っているお客様に対して、CAFやCDWは議論を効果的進めるツールとして有効的だなと思いました。
こういったツールを持たずに議論してもなかなか話が進まないケースはよくあると思うので、ぜひ実践で使ってみたいですね。